Dodgers Way の Colin Keane が、興味深い記事を出しています。題して 《Dodgers might be able to learn from former manager as they struggle with Shohei Ohtani's usage》。ロバーツ監督が大谷翔平の起用に苦戦するなか、エンゼルス時代に大谷さんを指揮した元監督 Joe Maddon の最近の発言が「参考になるかもしれない」という切り口です。
「登板日は打席を外す」が大谷さんにとって正解か
ここまでの2026年シーズン、ロバーツ監督は 登板日の大谷さんを打順から外す ことを多く試みてきました。今週も、水曜の先発予定に合わせてその日と翌日を打順から外す調整を入れています。
理屈は分かります。投げる日に打席まで立たせれば、二刀流の負荷は青天井です。だから「投げる日は投げることに集中させる」「翌日も体を休ませる」――これが現体制の休養設計の骨格になっている、と言ってよさそうです。
ファンの側にも、この方針への共感はあります。「無理させたくない」「長期離脱が怖い」という気持ちは、わたしも同じです。
ところが――その方針のもとで、大谷さんの打撃が 止まらず低迷している という事実があります。
休養を増やしているのに、打撃は戻っていない
5/11 時点での直近の数字を並べると、こうなります。
区間 | 打率 | HR | 補足 |
|---|---|---|---|
直近15試合 | .232 | – | ロバーツが起用を試行錯誤している期間 |
直近25試合 | .212 | 1 | 月曜時点 |
月曜の試合 | 0-for-5 | 0 | 2三振 |
チーム直近10試合 | 3勝6敗 | – | 記事時点で3連敗中 |
「登板日を打順から外す」という調整を入れているにもかかわらず、打率は .232 → .212 と 悪化方向 に動いています。ロバーツ監督自身、これまで見てきた中で「最も調子が噛み合っていない」と認め、大谷さんが「振って抜け出そう」とする戦略は賢明ではないと述べました。
The Athletic の Katie Woo 記者も「これは打者・大谷翔平の本来の姿ではない」と書いていて、長期的な打撃力そのものを心配しているわけではない、とも付け加えています。つまり 力は落ちていない。だけど噛み合っていない。この奇妙な空転状態が、もう25試合続いている。
ここで、ひとつの疑いが浮かびます。登板日を外す → 翌日も外す → そして週末に打席に戻ったときには、リズムを失っている。この方針、もしかして大谷さんの打撃にプラスになってないのではないか、と。
「監督が組む休養」か「選手が申告する休養」か
ここで参考になるのが、Maddon の発言です。Foul Territory で、彼はエンゼルス時代の二刀流運用についてこう振り返りました。
登板予定日の朝、Maddon は大谷さん本人に 脚の状態 を聞いていた。脚が強く、新鮮であれば、両方やらせる方向に傾いた。少しでも疲労を感じていて、それを前夜に伝えてきていれば、登板日は打席に立たせなかった。
つまりMaddon の運用は「監督があらかじめ休養日を組む」のではなく、「選手の自己申告を受けて当日判断する」という、ボトムアップ型でした。
そして Maddon は核心を一言で言い切ります。
"Knowing him, he believes the team stands a better chance of winning on the day that he pitches versus when he hits."
「彼を知る限り、彼は打つ日より投げる日のほうがチームの勝率が上がると信じている」
これは何を意味するのか。大谷さん本人は「投げる日に打席にも立ったほうが、チームが勝つ」と思っている、ということです。だから Maddon は、本人がGOサインを出したら両方やらせていた。NOサインを出したら外した。判断の起点は常に本人 だった。
ロバーツ監督のやり方は、これと対照的に見えます。監督側があらかじめ「投げる日と翌日は外す」と設計 し、選手はそれに従う。一見、より科学的で、より安全に見えます。けれど結果として、打撃は .212 まで落ち、チームは10試合で6敗。
もちろん、大谷さん本人がロバーツ監督の方針に納得しているなら、それはそれで一つの正解です。Maddon の運用が現代のドジャースに合うとも限らない。2018年のエンゼルスと2026年のドジャースは、戦力も、優勝期待値も、メディカルチームの厚みも、まったく違います。
ただ――ロバーツ監督自身が「最も噛み合っていない」と認め、Woo 記者も「これは本来の姿ではない」と書いている 今のこの状態 で、現行の休養方針が「正しい」と信じ続ける根拠は、どこにあるのでしょう。
"This is just not who Shohei Ohtani is as a hitter."
「これは打者・大谷翔平の本来の姿ではない」 — Katie Woo / The Athletic
本来の姿ではない、と外部の記者が書く25試合を、現体制はどう読み直すのか。Maddon の声は、その読み直しを促す一つのポイントとして、今週ふと届いてきたのだと思います。